スマートフォン向けに設計されたAPで自動車市場に本当に対応できるのか

  • By Eric Esteve
  • 16th 3 2016

覚えておられるかどうかわかりませんが、活況を呈していたワイヤレス部門から2012年に撤退を決定したTIは、当初スマートフォン向けに開発したアプリケーションプロセッサ製品ライン(OMAP)を「自動車メーカのような業界顧客を含むより広範な市場」に使い回すことを決定しました。大成功を収めたTIのワイヤレスベンチャーの始点となったフランス南部において90年代にTIに勤務していた私は、素晴らしいストーリーの終わりを眼のあたりにして悲しみを感じていました。ですがビジネス上の理由は理解していたので、それは賢明な決断であると思っていました。

OMAPを開発するためにTIが行った投資は多大で、OMAP5の開発には数千人/年を要したものの、産業市場にターゲットを絞るという考えは魅力的に見えました。私はこの考えに共感していましたが、当初ワイヤレス用に開発された既存のSoCを自動車アプリケーション向けに転換できると考えた自分は甘かったと思います。これが甘い考えである理由は、次の3つの単語で示されます。これらの単語とは、信頼性(Reliability)、可用性(Availability)、保守性(Serviceability)で、略してRASです。以下の写真は58年前に製造された自動車です。あなたは初期のiPhoneを2065年に使えると本当に思いますか?たとえそれに適したネットワークを利用できたとしてもです。

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Netspeedの顧客の1社に、サーバ、自動車、および産業市場の部門に対応する複雑なチップを開発していた多角経営企業がありました。自動車アプリケーションをサポートするには、その他のほとんどのアプリケーションをしのぐ、安全性、セキュリティ、信頼性という3つの基準が求められます。自動車は生命に関わるシステムであるので安全性が求められ、マルウェアがこのシステムに侵入することを阻止するためにセキュリティが求められ、自動車は、数十年は無理だとしても数年にわたって故障しないことを誰もが望んでいるため、信頼性が求められます。

しかし、特定の自動車アプリケーションをターゲットとしているSoCは、アプリケーションプロセッサと同様に複雑で、複数のCPU/GPU/DSPコアを統合しているため、キャッシュコヒーレントなソリューションを設計する必要性が生じます。同社の以前のSoCはコヒーレントではありましたが、そのコヒーレンシソリューションは大きく柔軟性に欠け、限られたコンフィグラビリティしか提供していませんでした。新しいSoCアーキテクチャはコヒーレントなバンド幅の拡大に加え、複数の寸法の設計選択肢を持つ、高度にコンフィグラブルなコヒーレンシソリューションを含む最大限の柔軟性をターゲットにしていました。レイテンシを最低限に抑えるために、コヒーレンシアーキテクチャはコヒーレンシモジュールの数に応じて拡張できる必要がありました。

他の市場をターゲットにしているSoCにも共通するこれらの設計上の課題に加えて、自動車市場向けに特別に定義されているISO 26262規格を満たす必要もありました。この高信頼性の規格を満たすために、アーキテクチャ設計者はエンタープライズクラスのRAS(信頼性(Reliability)、可用性(Availability)、保守性(Serviceability))機能を数多く提供することを望んでいました。信頼性は、平均故障間隔時間(MTBF)に結びつけることができ、高い信頼性は、システムが誤った出力を行うまでの時間が最長であることを意味します。可用性は、デバイスが動作すべき合計時間に対する実際の動作時間の比率です。保守性は、システムの修理の容易さと速さを定義します。


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この企業は高度にコンフィグラブルで完全に拡張可能なコヒーレンシソリューションを必要としていたため、NetSpeedは明白な候補となりました。Gemini NoC IPはこれら両方の要件に対応している、市場で唯一の製品であったためです。実のところ、Geminiはコヒーレントな設計と非コヒーレントな設計の両方の要件を満たすことができるだけでなく、コヒーレントなトラフィックと非コヒーレントなトラフィックが混在した設計にも対応できます。この企業はコヒーレントなファブリックにおいて優れた性能を発揮し、競合他社との差別化を図る必要がありました。NetSpeedのソリューションは、コヒーレンシバンド幅を100%増加させるという強気な目標の達成を可能にしたのです。以前の世代と比較して、NetSpeedの優れたコヒーレンシディレクトリソリューションを搭載した新しいSoCは、システムに対して非常に低いレイテンシをもたらし、25%の改善を実現しました。

デッドロックがスマートフォンAPで発生した場合、この事態はやっかいではあるものの、悲惨ではありません。オン/オフボタンを使用すればシステムは簡単にリセットできるためです。自動車向けSoCにとっては、デッドロックの回避は生命に関わる場合があります。構成と同時に修正できるNoCの設計に、特許取得済みのアルゴリズムとフォーマル手法を使用することで、NocStudioはアプリケーションレベルではデッドロックのないアーキテクチャを生成しました。

自動車という、このSoCターゲットアプリケーションに直接関わる課題の長いリストを検討する場合には、スマートフォンAPに注目してこのSoCのターゲットを再定義し、自動車市場をサポートすることは魅力的ではあるものの、甘い考えである理由を理解する必要があります。SoCアーキテクチャ設計者はRAS要件および柔軟なキャッシュコヒーレンシのサポートという点において、アーキテクチャを再検討し、許容できないデッドロックを避ける必要があります。NetspeedのNocStudioは、このような自動車向けSoCの構築に適したキャッシュコヒーレントなNoCジェネレータです。

このブログはNetSpeedの「自動車向けSoC」成功事例からインスピレーションを得たものです。この事例とモバイルAP、ネットワーキング、デジタルホーム向けSoC、またはデータセンターストレージの事例については、こちらをご覧ください。

From Eric Esteve from IPNEST

 

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